人権教育参観日講演会

演題   「小さな命にも思いやりを」

講師   高岸ちはりさん(認定NPO法人えひめイヌ・ネコの会代表)

平成28年10月28日(金)10:30~11:50 体育館で4~6年生児童及び保護者対象の講演会が開催されました。

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講師の高岸ちはりさんの紹介の後、高岸さんの「まずはじめに、犬や猫には、みんなと同じように心臓がある、命がある、みんな同じ命ということをわかって欲しいと思ってお話しします。松山市にもたくさんの捨てられた犬、猫たちがいます。えひめイヌ・ネコの会では、この不幸な犬・猫たちを助け、新しい家族を見つける活動をしています。お話しの前半は可哀そうな犬・猫のお話し、後半は、そういう可哀そうな犬・猫を無くすために行っているいろいろな活動について紹介します。」という言葉でお話が始まりました。

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何枚かの飼い主に捨てられた不幸な犬・猫たちの写真が映しだされました。奥道後に捨てられていた猫は、ひどい皮膚病にかかっていました。この病気は、注射一本で治る病気だそうです。また、白水台に捨てられていた猫は、前日の雨で敷かれていたタオルが濡れて低体温症になっていました。後、1時間見つかるのが遅かったら死んでしまっていたそうです。山の中に捨てられたら犬・猫は生きていけません。このようなケースは何件もあるそうです。

「皆さんは捨て猫・捨て犬を見たことがありますか?」と問いがあり、たくさんの子供たちが手を挙げていました。犬・猫は愛玩動物で捨てると犯罪になります。見つけたら警察に届けないといけません。~町の~丁目に捨てられていましたと警察に届けてください。そして、皆で新しい飼い主を見つける工夫をしてください。

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次に、動物愛護センターの写真が映し出されました。ここは、引き取り手のない犬・猫を預かり新しい飼い主をみつけるための所ですが、同時に殺処分するところでもあります。ゲージに入れられた犬・猫たちはだんだん奥のゲージに移動し一番奥のゲージからガス室に送られ処分された後、焼却炉で焼かれ灰になるそうです。

こんな悲しいことが起こらないために、少しでも多くの人に知ってもらおうと、えひめイヌ・ネコの会では、動物愛護センターの見学会を行ったそうです。その中で、見学にきた小学6年生のある男子は、3人兄弟でよくケンカをして困っていたので、命を大事にしてほしい、思いやりを持ってほしいというお父さんの考えで犬を飼い始めたそうです。飼い始めたからには、大事にして最後まで責任をもってほしいということで見学に参加したそうですが、その兄弟はその後、兄弟げんかをすることもなくなったそうです。

会の活動で、たくさんの命が救われたそうです。そのなかには、昨今のペットブームの裏側で犠牲になっていた犬・猫もたくさんいました。

平成28年8月、ブリーダーを廃業した後に残された65匹の犬が保護されました。45×65センチのゲージの中で、何回も出産をさせられ、うんちやおしっこにまみれ、ぼろ雑巾のようになっていたそうです。全国のテレビでこのことが放送され3日で65匹の犬の里親がみつかったそうです。また、MIX犬は可愛いので人気がありますが、中途半端に大きくなると買い手がつかなくなるため処分に困ったブリーダーが捨てるケースもあるそうです。四国中央市の山中で見つかったMIX犬27頭は、恐ろしい犬の病気パルボウィルスに感染していました。これらの犬たちは予防注射も治療もされておらず、保護された犬のうち10匹は死んでしまったそうです。

また高齢者の多頭飼いの犠牲になった犬・猫たちもいます。飼い主が亡くなって発見されるまで2か月の間、閉じ込められ世話をしてもらえず命も危なかったそうです。これは、全国どこででも起きている社会現象で、多頭飼いしている高齢者がいる場合は、社会全体で見守り、また場合によっては行政に介入してもらわなければいけなくなっているそうです。

後半は、えひめイヌ・ネコの会の活動についてのお話しでした。

<犬猫里親探し会>inunekosatooyasagashikai

会では、毎週日曜日14:00~17:00に犬・猫の里親さがし会を開催しています。犬の散歩も体験できるし、緑もいっぱいで、とても気持ちがいいところなのでぜひ来てくださいとのことでした。

会では、保護した犬・猫たちの新しい家族をみつけるお世話をしますが、誰にでも引き渡すようなことはしていないそうです。

犬の場合、まず、犬を飼える家(もしくはマンション)かどうかを確認します。次に、避妊手術、去勢手術をしてもらいます。これはここにいる犬猫たちが、手術しないで生まれた結果、捨てられた子たちが多いので、このような不幸はここで終わりにしたいからだそうです。また、犬は毎日散歩が必要だし、狂犬病やフェラリアという病気の予防注射もしないといけません。お金もかかるし、犬の平均寿命の15~20年の長い年月、責任をもって飼えるのか、それらを確認してから引き渡すそうです。猫の場合も必ず勉強して飼ってもらうそうです。

<保護猫カフェ>

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また、保護猫カフェ「ひめねこ」を火・木・土・日曜の13:00~17:00に開催しているそうです。ここでは、普段のねこの様子をみてもらって実際に触れあったり、猫を飼う時の知識を知ってもらったりします。保護猫カフェなので、飲食はなく、来てくださった人に500円の募金をしてもらい運営しているそうです。詳しくは、ホームページに写真も一緒に掲載していますのでご覧くださいとのことでした。

<ペット防災管理士育成講座>

ペット防災士管理育成講座も開催しているそうです。地震になったらペットをどうしようと悩んでいる人がいますが、もし、地震になったらペットを連れて避難してくださいとのことでした。これは、環境省が訴えていることだそうですが、東日本大震災の時に、実際は避難所に連れて来てもいいのに、他人の迷惑になるからと遠慮して置いてきた結果、野良犬化してしまったり、死んでしまったりしたことがあったそうです。後に、そのことで心を病む人も出たそうです。ただ、避難所には動物が苦手な人やアレルギーのある人もいるので、ペット防災管理士がお手伝いして迷惑をかけないようにするそうです。ペット防災管理士には子供や体力のない人でも勉強すれば誰でもなれます。また、石井東小学校も避難場所となっていますが、是非、この機会に、ペットのための避難場所(一時的に犬・猫をいれておける場所)を考えていただけるとありがたいとのお話しでした。また、人の防災袋と同様にペットの防災袋も用意しておいてくださいとのことでした。

<地域猫の管理>

このほか、地域猫(野良猫)に困っている地域の人たちと一緒に、地域猫の管理をする活動も行っているそうです。時間と場所を決めて餌をやり、食べ残しを掃除するそうです。また、地域猫の避妊・去勢手術をすることで地域猫の数が1年間で半分、2年間で3分の1になったそうです。

 

<両手のないコン太が両手で幸せをつかんだおはなし>

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最後に、本当にあった「両手のないコン太が両手で幸せをつかんだおはなし」をしてくださいました。東温市の山中にいた犬のコン太は、人間の仕掛けた猪の罠にかかって、両手を失いました。獣医の先生からは、安楽死を勧められたそうですが、高岸さんは、私が面倒をみますと引き取ったそうです。毎日、傷の消毒をし、コン太も高岸さんも頑張りました。コン太を助けて二年半たちましたが、大人しくてとってもいい子だそうです。今では、新しい飼い主の家族と幸せに暮らしています。「講演を聞いていろいろ思うこともあったと思いますが、今、犬、猫を飼っている人は、最後まで寿命が来るまで大切に飼ってください。また、これから飼う人は、本当に最後まで責任を持って飼えるのかどうか家族とよく話し合って飼ってください。そうすれば不幸な犬猫のいない社会になると思います。」とのことでした。

講演の後、教頭先生から「大切な命に関するお話しをありがとうございました。本日のお話を聞いて、自分の命、身近な人の命、同じ時代に生きるたくさんの命についてしっかり考えていける子供たちになってください。」との挨拶で講演会は終了しました。

人も犬も猫もみんなそれぞれたった一つの大切な命、改めてみんなで命について考えることの出来た講演会でした。