人権参観日講演会「全てかけがえのない命」

10月23日(水)、人権教育参観の後、人権講演会が行われました。講師に、愛媛県立とべ動物園の副園長の椎名修さん、NPO法人かぐや媛の山岡ヒロミさんをお招きして、「全てかけがえのない命」という演題で、命の大切さについて講演していただきました。

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まず初めに、山岡さんは「命って何だろう」と皆に問いかけ、自分だけではなく、家族や友達など周りの人、また動植物の命も大切だと語りかけます。私たちは、毎日の食事で肉や魚、野菜や果物として、動物や植物の命をもらっています。人間は他の命に助けられて生きています。一方で、人間の生活によって動植物の生きる環境が破壊され、絶滅の危機にある生物も多くいるので、そのことを知ってほしい、とのお話がありました。

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山岡さんが活動している中で出会った、とべ動物園の副園長の椎名さんは、日本で唯一、家族でのアフリカゾウの飼育に成功した経験を持っています。椎名さんが続けて、アフリカゾウ家族と関わった経験について、お話しして下さいました。

とべ動物園にアフリカゾウがやって来たのは30年ほど前です。アフリカから、「アフくん」と「リカちゃん」の2頭がやって来て夫婦となり、後に「媛ちゃん」が生まれます。媛ちゃん誕生の時には、母ゾウのリカは子育ての仕方が分からず、子ゾウにミルクを与えず、足で踏みつけてしまうこともありました。これは、リカが子どもの頃に親から離れ、群れで生活していなかったため、子育ての仕方を見たことがなく、子育てを知らなかったからでした。媛ちゃんは人工哺育で育ちます。アフリカゾウの人工哺育はとても難しく、媛ちゃんは初めての成功例となりました。椎名さんは、ゾウの家族と生活を共にしながらの子育てに取り組みました。

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媛ちゃんの後、弟・妹ゾウも生まれ、家族で生活していましたが、父ゾウのアフが転倒によるケガで亡くなります。父ゾウを亡くした一家は元気を無くしていきます。ゾウは家族をとても大切にする動物だそうで、アフを亡くして悲しがって元気を無くす様子は、まるで人間の家族を見ているかのようでした。お互いになぐさめ合い、励まし合う様子が見えたそうです。

アフリカでは、人間のお金儲けのために、象牙を狙って殺されるゾウが後を絶たないそうです。2000万頭いたアフリカゾウが、今では35万頭にまで減っているとのことです。

山岡さんは、どんな動物も、自分の命をつなぐために食べる分しか他の動物を殺すことはないのに、人間だけはお金のために必要以上に命を奪ってしまっている、と訴えます。子どもたちには、そういったことのないように考えてほしいし、私たちは、生きるために他の生き物の命をいただいて、体の中ではその命が生きているので、それを意識して、自分の命を大切にしよう、また他の人のこと、動植物のこと、地球の環境のことも考えて、思いやりを持った人になってほしい、とのお話がありました。

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今日のお話から、私たちを支えてくれている「命の大切さ」や、ゾウの家族・椎名さんとゾウの関係から分かる「絆の大切さ」について、子供たちも感じているようでした。今日の話をきっかけに、子供たちには、友達や自分の周りの人たちに思いやりを持ち、困っている人を手助けする、人としての優しさを持っていってもらいたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。